二〇二三年 二月 十八日 

守嚢

布 : 木綿二種[ 遠州 ]、裏/正絹[ 丹後 ]
手縫糸 : 藍木綿残糸[ 遠州 ]
染 : 藍[ 生薬 ・ 藍葉 、藍実 ]裏 / 白樫、茶ノ木[ 生薬 ・ 櫧葉、茶葉 ]

縦 (丈) 約 35 cm
横 (幅) 約 30 cm
口囲 約 65 cm
持手 (口囲~頂点)約 16 cm

¥ 25,000 + tax

外宮の神楽殿で催事を行わせていただいたときに、室に垂れていた布が着想になっている。とは言ってもこれは後付けでしかなく、守嚢が出来上がった際、妻に一言「あの時の神社の垂幕みたい」という言葉をもらってから物と心が一致した。ずいぶんと過去のことをひっぱりだしてきたようなことではなく、心髄によこたわらせていた感覚が今、二〇二三年を好機に外側にでてきたということだった。神具とでもいうのか、あの布物の妙に惹かれる佇まいから何か制作したい意欲は見る度にあった。嚢(ふくろ)を今回制作したのは、同質のものが付かず離れずで一体となっているけれどもそれぞれが個として在り、布の垂垂した感じや紐の垂れているものを制作したかったのと、ニードルパンチ法でしつらえた独特の布感を小ささのなかで最大限に活かしたかった。それに使い勝手のよい物をというよりも、持っているだけで光にふれないところに在る自身のやわらかな内面やほのぐらい内面が守られていると思えるような物を作りたかった。この道程でずっと想っていたこととつながりをみせてくれた制作物になったことは嬉しい。久しぶりの衣服以外の表現(六、七年前は鞄を制作していた)から、小物の楽しさを再確認する日だった。神性な背景にあやかって守嚢(もりふくろ)と名づけた。

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

i a i Exhibition ” 光々凡々 ”
2019 . 9 . 13 ( Fri ) – 9 . 15 ( Sun ) / 10:00 – 16:00
元伊勢外宮豊受大神社 神楽殿にて

 

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大江山麓の山村に暮らし
凡そ五年の月日が流れた
この土地に導かれ
心にとどいた感触をなぞる日々から
衣は生まれてきた
たとえばそれは
風のとうめいなかがやき
山のおおらかなふくらみ
ひかりゆすれる木
なだらな野原
かぐわしい石
ほの白くひかる水
光があたる草
星と原のけはいをきいて
土地をふくんだからだは満ち満ち
手は自然とうごいた
想えば自分の呼吸がいそがしかった五年前には
感覚しなかったことを
土地からまなばせてもらった
尊い生きものたちが身のまわりにあるもので
巣をつくるように
手そのものをささやかな道具として
あまたの呼吸と心をかよわし
心にとどまった四季が衣の光象として現れる今
内からありがたい想いが込みあげてきた
すでにある土地のきれいなものと手を交わし
素朴な山の神々に
これまで迎えてきた日々を奉げる
清らかに体内をあふれる水の感触は
自然と親しみ湧いた水であるということ
凡々である暮らし そこに光々とかがやく
身近な宇宙を讃えわかちあい
小さくもゆっくりとこの土のうえで成長しています
というご報告を衣をとおして

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

凡そ B5 サイズがすっぽり入る大きさ。両側に付いている紐をきゅっと引っ張って、いわゆる巾着の形状。そこに持ち運ぶ強度をかんがみて中央に大幅の持ち手を施した。遠州の薄布と中厚布の中に正絹をはさんで底と持ち手にはミシンで補強ステッチを走らせた。垂れている紐状の布がループ替わりとなっている。この形を身体で覚えたいので、今回の嚢(ふくろ)は受注をとらせていただきます。ただし布が確保できている分ですのでごく少量とはなりますが、ご縁を感じた方はご連絡頂けましたら幸いです。小物は中々制作しないのでこの機会に是非。中の仕様(手帳や財布、携帯サイズの小ポケットなど)もご相談いただけましたら対応させていただきます。

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