二〇二四年 八月 十五日 立秋〔 二十四節気 〕 / 十日夜〔 月 〕
布 : 亜麻苧麻[ 湖東 ] 、 絹 〈絹紡糸〉[ 湖東 ]、絹亜麻[ 湖東 ]
手縫糸 : 絹紡紬糸、苧麻績糸
被写体 / 身長 160 cm
‐ 身衣 ‐
身丈 (前)約 126 cm
身丈(後)約 128 cm
身幅 約 81 cm
袖囲 約 53 cm
裄丈 約 55 cm
¥ 37,000 + tax
経糸に亜麻糸、緯糸に反応染料の黒で染めた苧麻糸を使用された小さな格子模様の麻布。手触りに麻の毛羽感や冷たさ、緯糸の不均一の節が所々見て感じ取れる布は、滋賀の湖東産地で約四十年前程に織られた布。同時期に、同じ場所で絹紡糸のみで織られた生成り色の布は、蚕の汚れや穴あき、出殻、浮きしわ、薄皮などの副産物又、繭の糸口を見出す為にしごきとった緒糸(きびそ)繰り終えた繭にとどまった繭繊維(びす)などの短繊維を紡いだ糸なので、布の表面に蚕の屑が黒い斑点となり、美しい雰囲気を与えている。紐には、経糸に亜麻、緯糸に練糸の布を使用。
原型は着物の直線裁ちを意識して、首元はへちま衿の意匠を片方のみ取り入れて、袖は空気を取り込めるように広袖でとどめて袖先中央には丹後の絹紡紬糸で輪(ループ)刺繍。両側にポケットがあってその上に紐通しがあるのでそこに紐を通してそのまま後頭部で結わえると‘ たすき掛け ‘ になって手の動作がし易くなります。身幅や袖幅のあるものは布が手の動作についてきてしまって、機敏に動かしたい時には不快さがあるのでこのたすき掛けは非常に理にかなっているなと思っています。先月、美濃にお住いの服部みれいさんが i a i の衣にたすき掛けをしてピアノを奏でられていて心に得ました。着物袖をまくしあげる所作も含めて、日本人が行っていた纏いかた、その心を、もう一度見直していこうと思っています。
ご縁がありましたら幸いです。