二〇二三年 七月 十三日 

星合山襞帯身衣

布 : 絹麻平織( 経糸 / 絹 、緯糸 / 亜麻 ) [ 丹後 ] 、 絹ブークレ [ 丹後 ]
手縫糸 : 生糸残糸[ 丹後 ]、楮節糸[ 阿波 ]

身長 160 cm [女性]
〈 身衣 〉
前身丈 約 125 cm
後身丈  約 128 cm
身幅 (脇下)約 55 cm
身幅 (裾)約 105 cm

肩幅 約 40 cm
袖丈  約 30 cm
袖口囲 約 35 cm
肩囲 約 51 cm

〈 帯 〉
縦 約 8 cm
横  約 33 cm
紐  約 64 cm

¥ 54,000 + tax

雷雨が近づいているときにやってくる微風や、雰囲気が子供の頃から好きで、大人になってもそのままの心が在る。そういう気候になるまえに、外での仕事を終わらせられたらあとの時間は昼間であっても望ましい静寂を雨が演出してくれて、あまりよごれていない空気と心地よいうすい光が家にひろがり生活を包んでくれている時の至福は、子供では感じきれなかったところだから、歳をかさねることの富を感じていた。

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

絹産地の京都府丹後地方は、緯糸に強撚糸を使用して織られた「丹後ちりめん」が広く認知されている。より品質の良いもの、上等な繭を求められたであろう時代を経て、人と蚕、そして絹を着る人々の心象は経年変化してきた。i  a  i  で扱う絹布は、当時はただの副産物にすぎなかったものが圧倒的に多い印象。そういう質感に心をくすぐられてきた。今回使用した平織布は、機織りの過程で織傷や織段ができたものでいわば行程の副産物。しかし僕は純粋に欠陥とされる箇所が個性として美しくみえた。布の耐久は世に出まわっている布と同一。であればこの個性を活かしての衣制作の方が僕が楽しい。初夏から家の古瓦を施工していましたが、その一枚一枚に観る風化の記憶でまとう古色も日雨風雪の模様もけっして意図しては滲まない質感となっている。行程の副産物もねらっていないその偶然性が僕の心をくすぐったのだと思う。襟ぐりと袖口に使用した布はブークレ絹布といって表面に輪状の糸がでるように加工された糸で織られた絹織物。これは古瓦の経年変化した模様と一致していて、今を衣に込めて制作する自身の気質が布を選んでいた。

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

山襞と呼称するスモッキング手法で妻が配置した星々のような糸は絹糸と金糸が入り混じったものになっている。前身頃の両脇下に大きな襞を寄せているのと、後身頃にも背骨にかけて両方大きな襞をつくっている。脇は三角を入れて着脱を容易にしていて袖口は布を寄せ集めてきゅっと絞りブークレ絹布で包む。帯はブークレ絹布の残糸を先端に意匠し、帯の中心に楮節糸をはしらせた。絹のつややかな光沢感ではなく、麻の混入で手のタッチに涼感がありシャリとした音も感じられる。しかし薄くなく冷たい重さもあるといった印象です。布は新たに生産されていないので手元に持っているかぎりですが、ご要望があれば数着だけお仕立てさせていただきます。

ご縁がありましたら幸いです。

星合山襞帯身衣 | i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」
i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」 お問い合わせ | i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」