二〇二三年 二月 十日 黄鶯睍睆

星粒光海前掛身衣

布 : 節木綿[ 遠州 ]、裏地/正絹[ 丹後 ]
手縫糸 : 藍節木綿残糸[ 遠州 ]
染 : 藍[ 生薬 ・ 藍葉 、藍実 ]裏地 / 白樫[ 生薬 ・ 櫧葉、櫧皮 ]

身長 160 cm [女性]

前身丈 約 126 cm
前身幅 約 32 cm

後身丈 約 130 cm
腰囲  約 95 cm
裾幅 約 370 cm
紐丈 約 95 cm

¥ 62,000 + tax

鉄紺色の木綿は、先藍染めを中心としている遠州産地から。「先染め」は綛糸の状態で丹念に染色を積み重ねその一本一本の糸の持つ色や風合いを生かしながら縞柄や変わり織りなどで織りに変化を持たせ生地として生まれ変わらせていく技法の一つ。家族形態で行う一貫手作業による染織の体現。機織り工場の直ぐ横に生命の匂いを感じる藍甕が数十個整然と並び、綛糸を浸ませる出番を待っている。今回使用した藍布は緯糸にネップ糸を織り込んでいるのが特徴。これは糸を撚ったときにできる節( 糸のかたまり )が途中に入った糸のことをいい、非常に短い繊維がもつれ絡み合ってできた不規則な節が平らかな布にぽこぽこと波うっているのが美しい。布の質感としては柔らかいので刺し子布のような表層ではしたたかに見えるにも関わらずとろっとしている。風合いが衰えるような樹脂加工はせず糸の段階で入念に水洗いを徹底されているので洗濯頻度のある生活衣として良好で色落ちが少ないです。

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

やはり深き藍は、海を連想させるなにか神妙な霊気がただよっているように思えてならない。ま、あととにかく落ち着く色でもある。海に星がぴかぴかしている以前の記憶をまさぐられたときがあって、それは暮れかけの初雪に光がこぼれた風景が想い起したものであったのだけれど、鉄紺色の藍に触れたときにここに光の粒みたいなのを布内でちらばらせる着想になった。

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前垂の中地に丹後産地の正絹を倒木した白樫で染色してあったものを選び、薄香色をまとった絹布を遠州木綿に二十一本の針で叩いて浮かび上がらせている。布と布の相性次第でいかようにも表情をかえることができる手法は個人加工の醍醐味で、様々な布で試しているのだけれど今回の布と布の吸いつきは良好で光粒がまんまと現れてくれた。それを遠州木綿で挟んでミシンステッチを走らせた。洗濯機で洗うことを考えたら脱水の遠心力でぽこっと浮かんだ布が逃げてしまうこともあるから入念に。仕立ててみたらそれが模様になっていることにも気づいて一石二鳥となっています。後身頃上部も同じくニードルパンチ法も用いて、留め具は叩き真鍮のスナップボタンを。下部の巻衣は自然と裾広がりとなるように円形に裁断したので落ちた時のドレープがなめらかな印象。端にはそのまま布ミミを使用している。紐通しを脇下側面に残糸でかがっていますから、そこに通して前でも後ろでも結わえるように長紐にしている。先端には同じく光粒をぽつぽつ。ポケットは前垂の裏側に設置している。

ご縁がありましたら、幸いです。

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