二〇二三年 一月 二十七日 

竹麻水沫三衣

布 : 二衣 / 竹麻(経糸亜麻、緯糸竹綿混紡)[ 遠州 ]、裏地亜麻[ 湖東 ]        上衣 / 木綿[ 播州 ]、古布[ 昭和初期 ]
手縫糸 : 播州木綿残糸[ 播州 ]、古手紡木綿糸[ 会津 ]
染 : 播州木綿 / 柿渋、茶ノ木[ 生薬 / 柿漆、茶葉 ]

身長 160 cm [女性]

[ 二衣 ]/貫頭衣
前身丈 約 60 cm
後身丈  約 45 cm
身幅  約 35 cm
[ 二衣 ]/前掛
身丈 約 95 cm
身幅 (腰)約 70 cm
身幅 (裾)約 90 cm

[ 長袖上衣 ]
前身丈 約 60 cm
後身丈  約 65 cm
身幅 (脇下)約 58 cm
身幅 (裾)約 78 cm
袖丈 約 40 cm
袖元囲 約 33 cm

¥ 61,000 + tax

数多の民族衣装は、織る生活にむりのない小幅を用いて、糸をほどけばまた布にもどせる簡単な形が多くみられる。自らの手で原始的な作法で織り上げられた布に鋏で切り込みを入れることは到底できない。そういった精神性が簡素な縫製で着るという知恵を紡いだ。さらにその土地の風土、素材、そして生活に密着した工夫の上にたって自ずから生みだした皮膚の延長。それが民族衣装の根源だとしたら、僕はその精神性を大切に紡ぎながらも、現代の生活になぞらえ衣を創る。自身の生活からたどる風土、資源、心のいぶきを純粋に漂わせられたなら、民族衣装という元は風土の延長でしかなっかた民衣と精神を現世につなぎ込め、古の息づかいと今を讃えられるのかもしれない。そういった意識のもとに古い衣をほどいての古布と現世の機織りを出会わせる瞬間にこみあげる楽しさがある。独創の制作は二〇二三年の現世に至って唯一無二であるのだろうと、僕自身もあなたも皆が個の星と気がつけば、物に溢れたという時代にあっても作り続けるということを僕は尊べる。とにかく自身の中心の内在にある美しいものに抱かれ美しいものを生みだして紡ぎだしてゆくことが、今の僕の生きるということ。

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

遠州で出会った天然の竹繊維が入っている竹麻布は、竹繊維の長さが二ミリ程と短繊維なために単繊維の状態での紡績は至難ということで繊維束の状態で綿と混紡される。繊維が短いので布帛から竹繊維がひょんひょんと出ている表情が竹の固い性質を想わせる。短繊維が肌を刺激してしまうので裏地に艶のある湖東亜麻でおおう。それでも野性味ただよう質感にほれぼれとした竹麻布は布帛がしたたかなので生活や労働にがしがしと使い込んで頂きたい。竹のしゃりっとした清潔さが清く摩擦ごとに光沢が現れると聞いた。播州織の布は機織りの北側に積みあがる布塊から出会った。見た目の風合い、柿渋の先染糸だから固さを帯びてるのかと思いきや真逆のふかふかの手触り。経年で色褪せもあったので茶ノ木を薪火で煮たして再度染色した。古色に近い栗皮茶をだしたので、それに親しそうな所持していた古布の帯をほどいて袖元に縫い込んだ。

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三衣として提案せざるをえない親和性があったので、一日一衣ちゃうやん!という声も聞こえてきそうですが、ちょいちょいこういうことを閃きでやってしまうのでそこも楽しんで観ていただきたい。二衣の貫頭衣は字のごとく頭からすっぽりかぶって付属の腰紐を前身頃のループに通して縛る。後前身頃同様に水沫のような土のぽこぽこは播州木綿の残布をニードルパンチ法で浮上させた装飾。胸元の襞は身体に添うように平面裁断のみでなく立体で縫製。前掛けは片方のみポケットが中心部分にあって、丁度垂布の背後にあるので縫い糸がみえない。垂布は単に動きの美しさを引き立たせるのと、手拭きという意図。ポケットを配置した縫い合わせ下部の裾元でスリットを入れて歩行動作しやすいようにしています。長袖上衣も貫頭衣の延長でとらえ袖の切り替えしを行っていないので身体という立体を通した時に布が引っ張り合う。それが下部に影響して背と腹にぽわんとふくらみがうまれるのですが、脇元に襞を三つずつ入れこんでそのぽわんをすこし落ち着かせている。これで貫頭衣の良い所を引き出せている気がしている。

三衣としての提案は、一衣では表現しきれないiaiの衣合わせと奥行きをみせられるので今後も懲りずに続けますね。

ご縁がありましたら。幸いです。

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