二〇二五年 一月 二十四日 大寒〔 二十四節気 〕 / 有明月〔 月 〕
布 : 毛[ 尾州 ] 、 古布 [ 大麻 / 江戸 ‐ 明治 ]
手縫糸 : 自家採取苧麻績糸[ 福知山 ]、
染 : 柿渋 [ 生薬 ・ 柿漆 ]、木五倍子
被写体 / 身長 160 cm
身丈 約 130 cm
身幅(上部)約 31 cm
帯幅 約 100 cm
裾幅 約 144 cm
紐丈 約 72 cm
¥ 61,000 + tax
尾州の産地に訪れた際に出会った獣毛繊維の縮絨( フェルト化 )のような質感で鋏をいれてもほつれないような密度と、藍海松茶色のゆかしさに惹かれた。i a i の衣に成す布は、i a i 由来( オリジナル )の織りではなく、織り手が発想し蓄積した手持布の中から僕の目で選定させて頂く。例えば大正 ‐ 昭和 に織られた布を今の眼と心で出会い直すことで、出会いに反応して閃きが身と心をただよう。そして取り入れ方次第、物の見方一つで、独創を浴びせられるこの作り方が性に合っていると感じている。そして織り手が在庫する現状を軽減できることで相互関係にも寄与しているという充足もあります。下部のみ布幅を最大で襞山(スモッキング手法)をふんだんに施すのは妻の手仕事。衣形をぼんやりとだけ伝えて出来上がってきたものに、僕自身が反応して衣に成してゆく。最近、柿沼和夫さんの「 顔 : 美の巡礼 」という肖像写真集を読んでいて、いわゆる他力本願で相手の霊性をひきだしてゆくその御姿と文に魅せられ、できるだけ癒された状態で力みもさほどない具合の創作へつなげられたらと思い託してみた。
中心線に古布を柿、木五倍子の実染でタンニンを含ませた手績大麻をあてがい、手縫いでとどめてゆく。紐は残布をさらに裂いて細番手の毛糸を撚った糸で手縫いで包み上げる。全体的な衣形としては和服の直線的な印象ですが、襞山( スモッキング )の意匠と羊毛布の伸縮、後身頃下部の小襞が手伝って動きがし易いと着用した妻が言っていました。上部の片流れの際(きわ)に、小さめのポケットを制作過程で閃きそのようにすすめました。裾は大麻古布で包み縫いとどめています。
ご縁がありましたら幸いです。