二〇二二年 十月十六日 

藍木綿秋波割烹衣

布 : 木綿[ 遠州 ]、富士絹[ 丹後 ]
手縫糸 : 緯紡木綿残糸[ 遠州 ]
染 : 藍 、柿渋 、茶ノ木[ 生薬 : 藍葉 、柿漆 、茶葉 ]

身長 170 cm [女性]
- 割烹衣 -
前身丈 約 118 cm
後身丈  約 120 cm

身幅( 脇 ) 約 50 cm
裾幅 約 98 cm
肩幅 約 40 cm
袖丈 約 48 cm

- 筒衣 -
身丈 約 105 cm
身幅 約 68 cm
筒囲 約 136 cm

¥ 55,000 + tax

村の秋祭りのため清掃や草刈りに参加した。とは言っても、コロナウイルス感染の影響で今年も大々的に執り行われることはなく、早朝のお参りと祭礼のみが静観に粛々とすすめられた。神社にひとたび入れば、氏子の皆が一つの光芒に向かっておなじ身体となって、ひたすら場を清める時を過ごす。山のふところを流れる火山流水の音と大樹の檜からさしもれこむ甘美な光がその光景を霊妙なものにしていた。福知山に居た時とはお祀りされる神さまへの態度や形式がまったく違い、これも地域性なのだとしたら日本列島そこかしこで少しの差異が風土をつくり、醸されているその空気はまぎれもなく唯一無二な村と暮らしをなしていたのだろうし、今もその残風がそよいでいる。この国の万物礼讃にみる神秘体験はやはりぼくの内在に欠くことができないもの。いや、地域住民の皆が同じ心を持っているから、霊妙な場が現れたのだ。どんなに違いのある生活や想念を抱いていても、ひとところに集まるその時その瞬間には身体は一つになり心がかさなることが、こんなにも美しい体感となってえられた尊い日だった。

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

先綛藍染めを中心としている遠州染織から。「先染め」は綛糸の状態で丹念に染色を積み重ねその一本一本の糸の持つ色や風合いを生かしながら縞柄や変わり織りなどで織りに変化を持たせ生地として生まれ変わらせていく技法の一つ。家族形態で行う一貫手作業による染織の体現。機織り工場の直ぐ横に生命の匂いを感じる藍甕が八個整然と並び、毎日朝七時頃から糸を浸す。染場には八種の瓶(かめ)があり、それぞれ藍の濃淡が異なるため淡藍甕から順に濃藍甕へと綛糸を浸ませる。僕が畑で育て、発酵灰汁藍建てを拵えた淡藍もとても美しい青を与えてくれるが、やはり威厳のある濃度も眼が触れると高鳴るものがある。自分でここに到達しようと意気込んでいたこともあったが、自身の純度でできること、潔く人にゆだねること、その表現のめりはりが今の心の真ん中に心地好い。緯糸に木綿紡 ( ネップ )糸を織り込んでいる。糸を撚ったときにできる節( 糸のかたまり )が途中に入った糸のこと。非常に短い繊維がもつれ絡み合ってできた節が、織り上がった布に水の気泡めいた小さな粒として表面に現れ、濃淡がうつくしい。無染色の糸、淡藍染糸、柿渋染糸の三種、経糸にも茶ノ木染糸、濃藍糸の二種で織り成した布。

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

割烹着からの着想で、背に意識を向けた。できるだけ背開きを印象づけたかったので、割烹衣の下に付属の筒衣を着ることで、はだけても同素材が見え隠れするようにした。背の首元と腰の二ヶ所で紐留めすることで衣となり袖元は丹後で織られた富士絹に布包みスナップボタンを施す。両側の外付けにポケットが二ヶ所、首元と裾に富士絹の端裂を接いで淵を縫った。割烹衣は前後を逆に羽織としても着用可能。付属の巻衣は筒状で一ヶ所を縫ってある上部に紐を二本、下部にスリットが入っているので、すぽっと脚をとおして身体に合わせて折りたたみ紐を適当に良いところで結んで固定して着用下さい。二衣で一つとなりますが、単衣それぞれでも着用できるので藍木綿秋波割烹衣は自由度が高く、さまざまな生活様式で使い分けていただけたら嬉しいです。

ご縁がありましたら、幸いです。

藍木綿秋波割烹衣 | i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」
i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」 お問い合わせ | i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」