二〇二四年 十二月 二十八日 冬至〔 二十四節気 〕 / 有明月〔 月 〕

黒光天木綿羽根外套

布 : ( 厚 ) 別珍 [ 天龍社 ]
手縫糸 : 天蚕糸[ 北但馬 ]

被写体 / 身長 160 cm

身丈 (前) 約 41 cm
身丈 (後) 約 45 cm
身幅  約 77 cm
肩幅  約 48 cm

¥ 23,000 + tax

静岡県の天龍社繊維産地は天竜川以東から成る別珍・コール天の生産地。明治中期から天龍社を発端に大まかに剪毛・カッチングと、仕上げの毛焼き、染色工程を経て、天からふる光がすべるような光沢感の木綿布が現れる。布との出会いは自らが動くことから縁は紡がれ、移動した季節が影響する心の機微で手にとる素材は今の自身そのもの。今回は大きな一歩を踏みだせた個展を終え、力みが緩んだ冬の入り口にたって無性に別珍やコール天に触れたくなって家族で静岡に向かった旅路で出会った漆黒の厚みのある別珍。コール天と同じく表面に毛羽や輪奈を出した滑らかなパイル(添毛)織物ですが、畝のない凪いだつややかな布を別珍という愛くるしい名で呼ばれている。

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

厚みのある別珍素材の主体は木綿の緯糸にポリウレタン繊維を二%の混率により、厚みはしっかりあるのにもかかわらず低伸縮で可動域に負荷がすくない。身衣をしつらえている小休憩時におもむろに湧いてきた、肩周りを包みこむケープ(外套)のようなものをイメージして鋏で布を断っていた。仮縫いもなく一度縫って成型したものを妻に纏ってもらった時に感じた違和感を解きほぐすように、もう一度鋏を入れていくときに肩付近に深さと丸みを吹き込み、薄手の別珍の端裂でほつれを包む。その先端には最小の留め具を付けて、取り外し可能にすることにより印象が変わります。最初にイメージしていた外套はゆるやかなドレープ(たるみ)に包まれた身体を想像していましたが、前身頃の和服要素と肩付近の意匠により別物の外套が現れていきました。一つまえの動きに反応してつぎの手へ移行していく制作過程は、今、今を讃える私そのものの現れでもあって、心地好い現象のなかを揺蕩うひとときでした。

 

ご縁がありましたら、幸いです。

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