二〇二三年 一月 二十三日
布 : 起毛木綿[ 遠州 ]、毛麻残布[ 尾州 ]
手縫糸 : 古手紡木綿糸[ 会津 ]
染 : 裏地 / 装飾[ 木五倍子 ]
身長 160 cm [女性]
前身丈 約 123 cm
後身丈 約 128 cm
身幅 (脇下)約 50 cm
身幅 (裾)約 88 cm
袖丈 約 51 cm
袖裾囲 約 30 cm
帯 (長さ)約 115 cm
帯 (幅)約 5 cm
肩幅 約 36 cm
¥ 48,000 + tax
遠州 (浜松)にて低速のシャトル織機で織られた布は「バフ」という名がついている。これは乗馬時に鞍が滑らないように鞍の下に敷かれる〝馬布〟から着想を得て織られているので強度があるにもかかわらず、定番のバフよりも細番手の糸を使用しているからしなやかで柔らかい。微起毛による肌ごこちの良さは朝の光景によこたわる霜そのもので、土や石やをまろく包みこむような質感を感じた。霜とは言ったが、うまれたてのひよわい小鳥のようでもある。先染めの色調で灰色の布風景に黒い斑点が点在している。和服のように交差させた胸元の始末には、尾州(一宮)で織られた亜麻と毛(羊)が半々の裁断残布を。
袖裾と、帯の中心にはぷつぷつとわきたつ水泡のような模様が浮かんでいる。遠州木綿の裏に、木五倍子で染めた遠州木綿残布を二十一本の針で叩いて浮かび上がらせた。割烹や、着物の日本的なイメージを強く持った日だったので交差させる上前身頃の重ね、下前身頃には上重ねの延長線に大きな襞を作った。袖は着物袖のまま袖裾付近までもっていき、手首できゅっと閉じている。簡素ながらにも一つ一つの意匠に個性的な印象がある衣になりました。
ご縁がありましたら、幸いです。