二〇二二年 八月十二日 満月

湖東麻土香涼動衣

布 : 苧麻 [ 湖東 ] 、生絹古帯 [ 昭和期 ] 、木綿 [ 備後 ]
手縫糸 : 由良川藍染生糸 [ 丹後 ]
染 : 木五倍子 、赤目槲 [ 生薬 / 将軍木皮 ] 、由良川藍 [ 生薬 / 藍葉 ]

身長 160 cm
身長 156 cm
前身丈 約 130 cm
後身丈 約 120 cm

上 / 前身丈 約 40 ㎝
上 / 前身幅 約 30 ㎝
下 / 前身丈 約 92 ㎝
下 / 前身幅 約 84 ㎝

布紐丈 約 90 ㎝

¥ 46,000 + tax

地を揺するような熱気がもおもおと天へむかってゆくこの季節には、水に心身を浸すことがこの世のご褒美なのではないかと思いながら、時には風呂に水をはって、川に出掛けて、水道水を子供用のプールにためて、娘たちと一緒になって涼をとっている時の何とも幸福なひとときに精神も皮膚感覚も高まってゆくのがわかる(なんとなくです)。また、水を離れたあとの水の余韻も甘美で、空にみえる夏だとより一層幸せそうな太陽のことを思っても全然暑くならない。わかりやすく冷やされる冷房や扇風機ではなく、水風呂がこれから僕の夏の大部分を占めることを想うと、いや、冬は冬で湯、お風呂が人生の大部分といっても過言ではない僕の人生のために、これから創建する茅葺きの小さな家にもうけられる五右衛門風呂への期待に、眼の輝きがとまらない。そして、もう一つ大事な想念がある。新天地でこころみたい一つに ”薬湯” がある。僕が日頃、衣への名とともに染色した草木根皮を記した並びで生薬と謳っていることを内服、服薬するように皮膚の外で体現したいのです。薬湯(草木汁)で身体に薬をまとい、その湯液の効能を布にしむる。その体感の妙をできるだけ言葉と写真にのこして皆様に伝えていきたいのですが、まだ始まったばかりの思惑。真の心中で深めて参りたい所存でありますから、気長に、それでも来年から歩を進めてゆくのでどういう活動になるか面白がって見ていただければ幸いです。

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

滋賀の湖東産地で織られた苧麻素材の原生は中国の湖南省。経緯ともに紡績苧麻で、約四十年前に織られた布。染色の赤目槲は歩いているとどこにでも生えているのを目にする。夏の盛りの頃だと樹皮の水分が潤沢なのでするっと容易に剥けるので、赤目槲な気分の時には必要な量を剥いでおいて、乾燥させて煮たす。木五倍子は居住していた福知山大江町の山地に自生していて、古くは白膠木に寄生する五倍子の代用として染色されていたと聞く。どうりで垂れ下がったその藤のような実のつらなりから濃度のあるタンニン質な色味が布にしむる。こうやって草木染料を重ねることで色彩に深みがでてゆく。裏地に使用した備後木綿は、畑で育てた由良川藍発酵建てに染むんだもの。丹後産地の生糸も同じい藍で綛を染め二本どりで縫い付けた。昨年染色した布と糸を使用しています。昭和期に織られた象形文字のような幾何学の帯は反応染料であるらしい。単に美しく、ここぞとばかりに使用できて嬉しい。

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光に透ける素材感なので赤銅色の奥に人の姿がうつるさまが綺麗。ですから、単衣で着るよりも重ねたなかに居場所があると思ったので、動くときにさっと羽織れるような感覚の動衣。前掛け長衣とでも言えるかと思います。首元はすこし立ち上がっていておへそ付近に襞が二ヶ所。帯を隔てて下衣が縫い付けてあるのですが、後身頃は独立しているので、一緒に巻き込んで結わえても、たらっと垂下げていても綺麗です。帯に紐通しがあるので布がずれにくいのと、ポケットは下衣の二重前掛の裏にもうけてあり、二重前掛は手拭き布としての意味付けです。
ご縁がありましたら、幸いです。

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