二〇二三年 二月 四日 立春

紺碧舞布身衣

布 : 木綿[ 遠州 ]、民族古布[ 中国 ]
手縫糸 : 白金刺繍糸
染 : 藍[ 生薬 ・ 藍葉 、藍実 ]、茶ノ木[ 生薬 ・ 茶葉 ]

身長 160 cm [女性]

前身丈 約 124 cm
後身丈  約 126 cm

身幅 (脇下)約 55 cm
身幅 (裾)約 105 cm
肩幅 約 40 cm
袖丈 約 48 cm

袖囲  約 46 cm
首囲  約 61 cm
垂布(丈)約 84 cm
垂布(幅)約 210 cm

¥ 45,000 + tax

紺碧色の木綿は、先藍染めを中心としている遠州産地から。「先染め」は綛糸の状態で丹念に染色を積み重ねその一本一本の糸の持つ色や風合いを生かしながら縞柄や変わり織りなどで織りに変化を持たせ生地として生まれ変わらせていく技法の一つ。家族形態で行う一貫手作業による染織の体現。機織り工場の直ぐ横に生命の匂いを感じる藍甕が数十個整然と並び、綛糸を浸ませる出番を待っている。今回使用した藍布は緯糸にネップ糸を織り込んでいるのが特徴。これは糸を撚ったときにできる節( 糸のかたまり )が途中に入った糸のことをいい、非常に短い繊維がもつれ絡み合ってできた節が織り上がった布に水の気泡めいた小さな粒として表面に現れ、平らかな布にぽこぽこと波うっているのが美しい。風合いが衰えるような樹脂加工はせず糸の段階で入念に水洗いを徹底されている。古布の中国民布は丹波篠山の古商で出会った。幾何学的な模様が美しく、紺碧色の遠州木綿と相性が良かったので一衣へ。

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

なぜか吐息の白い季節を迎えるたびに、巻くとか包むとか結わえるとか、そういう定めのない衣を妄想することがふえる。寒さでどこもかしこもの肌を隠したくなるからなのか、それもたぶんにあるのだけれど包むという在りようが好みなんだとも思う。民族が長方形の布を身体にあてがって様々な工夫の上にたって生みだした着こなしには眼に見張るものがあるし、平面の布という簡素さをもちえつつも身体に巻いてしまえば、どうやって着たの?という不思議な立体となって風土に溶け込み、色々な想像を膨らませてくれる。原始の想起は技術以前の創造力とユーモアが溢れているから、技術よりも創造側に近い僕の魂は同調しやすいのかもしれない。そうはいっても二〇二三年に心の芯を据えているから現世に生きる衣をと想い、布を布で包むような衣が作れないかなあ~と想像した。包むためには身体以上の布幅は必須なので軽さがありつつも絹のように滑らかに落ちていかないで、動作の時に少し形の残像があるようなのをと思考し遠州木綿布を選んだ。軽いのに透け感はなくネップ糸の起伏が重厚さを醸しているのにそのギャップが良かった。前身頃に半楕円の布を二重でかさね、身体に添って布が落ちる時に均等にドレープがうまれる。それを後身頃側面寄りの紐で結わえてやるとカーテンの束のようにまとまりこれが基本形かなという印象。あとはかさねた布を結わえないで身体側だけで結わえることで自在になった舞布は、いかようにも包むことが可能になる。写真でみせているのは首にくるりと巻くことでチベットの僧侶を想わせた。あとはただ垂らしているだけで外套の印象を持ち、同素材の衣合わせは気品があると僕は感じる。様々な着こなしを体現させて頂きたいです。袖も筒状のままを縫製したのでゆとりのあるシルエット、裾元には檜皮で染色した残布をニードルパンチ手法で浮かび上がらせ、ミシンを四度走らせキルティングのように包み込んだ。後身頃の両側面に大きな襞が一つ、その中に紐を縫い込み、背の中心にも襞を一つ寄せている。

 

ご縁がありましたら、幸いです。

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