二〇二三年 六月 六日 芒種

茶麻垂蒸巻下衣

布 : 亜麻 [ 素材原産 / フランス 、織 / 湖東 ] 、 古藍木綿 [ 丹波篠山 / 大正期 ]
手縫糸 : 古手紡木綿糸 [ 会津 ]

身長 160 cm [女性]
身丈 約 87 cm
身幅  約 105 cm
身幅 (裾)約 210 cm
紐丈 約 93 cm

¥ 37,000 + tax

滋賀の湖東産地で織られた亜麻素材の原生はヨーロッパの北フランス。経緯ともに紡績亜麻で、今まで出会った亜麻布も様々質感を撫でてきましたが、湖東産地で出会ったこの布は微少に光沢すら感じ、亜麻布の色味の淡香色は皮膚の延長にいるような仕上がりと経年です。そして、陽のとどかない所に眠っていた布は約四十年前に織られたもの。化学染料や草木染色での判断ではなく今存在している大切な資源として、それらを残した人の手の温みに触れて衣を生みだしたいという想いが、倉庫から布を大切に持ち帰らせていた。今在るもの、ことを自身に呼応する範囲内で人の心を揺さぶられる衣へと昇華できるかどうか。ファッションという大きな流れの中で、中庸でそれぞれの在り方に愛をおくり、どちらもいいと感じられる心の余白をいつまでも持ち合わせていたい。

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

古布は丹波篠山で出会った鉄紺色の藍木綿。大判の風呂敷として生活道具の一部になっていたと想像できる縫製と広幅。修繕手跡も多数残っていたが、一番惹かれた箇所を裁断して会津で手紡ぎされた古木綿を墨と藍で染色した糸で縫い足した。

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腰巻部分は古布藍木綿を二重に折りたたんで、紐を出す部分に紐の余りで装飾した。夕陽に照らされた山頭から光線が地続きに高原にとどく風景を見た記憶を衣にとどめた。番手の細い糸で織られた布は一布では透け感があるので同素材で裏地をつけた。ポケットは右片方のみ配置。前身の中央には切り込みが入っている。暖簾のような印象から、暖簾の古語 「垂蒸」(たれむし)を衣の名前にしたように、身体を家として下界と分ける暖簾という存在と相まった巻下衣が現れました。布のかさなり部分がしっかりとあるので開ける心配はありません。簡素な身衣(ワンピース)と合わせても良いでしょう。前掛け(エプロン)代わりに着用されてもよいでしょう。梅雨の低気圧の心情にそっと寄り添い、少しだけでも気分があがるような存在となれましたら幸いです。

佳きご縁となりますように。

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