二〇二三年 五月 三十日 

藍楊柳光緒垂身衣

布 : 木綿[ 遠州 ]、古布木綿[ 東河 / 蔵 ]
手縫糸 : 藍染真綿手紡糸[ 丹後 ]、藍野州麻 [ 鹿沼 ]、鳳梨糸[ 丹後 ]
染 : 遠州藍、由良川藍[ 生薬 ・ 藍葉、藍実 ]

身長 160 cm [ 女性 ]
身丈 約 125 cm
身幅 (脇下)約 55 cm
身幅 (裾)約 85 cm

袖丈 約 47 cm
袖囲 約 50 cm
肩幅 約 42 cm

前垂
縦 約 42 cm
横 約 33 cm

長さ 約 150 cm

¥ 55,000 + tax

古布には星が巡るうえで、時代ごとの瞬間その哀愁や歓喜が表面にただよい、生活といういとなみがまっすぐに伝わってくる。人の生きてきた気配が記憶された布は、時代と共に量産へ移行してからであっても個々それぞれの表情、性格が布の表面ににじみもれでていて古布の質感、醸される気質にほれぼれとする。藍楊柳光緒垂身衣に用いた古布木綿は兵庫の東河、白井村の民蔵より出てきた。時代的には大正 - 昭和期のものだろうと思われる。藍で染めた布の裏地補強に縦縞の和装をほどいたであろう端裂が縫われていて、歪みの素人加減が意図的でない丸みの線となって惹きつけられた。袖と淵、帯紐のあつらえた古布は蔵窓のにぶい光を受けとる所に置かれていて、太陽に日焼けして褪せた感じが自然染色美となって色の陰影をやどしていたので持ち帰らせていただいた。

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

楊柳藍綿は、先藍染めを中心としている遠州産地から。「先染め」は綛糸の状態で丹念に染色を積み重ねその一本一本の糸の持つ色や風合いを生かしながら縞柄や変わり織りなどで織りに変化を持たせ生地として生まれ変わらせていく技法の一つ。家族形態で行う一貫手作業による染織の体現。機織り工場の直ぐ横に生命の匂いを感じる藍甕が数十個整然と並び、綛糸を浸ませる出番を待っている。風合いが衰えるような樹脂加工はせず糸の段階で入念に水洗いを徹底されているので洗濯頻度のある生活衣として良好で色落ちが少ない。

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長雨の頃を想って、身体が低気圧におしつぶされないようにからみつく水分を溜めこまない宙をかろやかに歩けるようなイメージで制作した。楊柳布は縦細の皴が入っていて風が心地よく通ってくれる。布幅もしっかりもたせてやることで乾性に富み、空気がこもらない印象。前掛けの装飾は古布の刺し子が美しい光緒となって連なっている。真綿手紡糸のもけもけに合わせて鹿沼からご縁があった野州麻(大麻)を藍で染色し袖口に施した。胸上には鳳梨糸(パイナップル繊維)を二重にして縫い付けて、背守りも施す。袖形はやはり和装が頭をよぎって、しかしそのままだとなにか物足りなさを思い、袖中央で布を割って、袖口で裂いてみたら腕の動きに涼しさが増した。久しぶりに衣と向き合ったが、今日は感覚重視で手を動かしてみてやっぱり性に合っている。考えすぎないことで説明的にもなりすぎず、布も糸も様々使用したけれど一衣の中で調和がとれた。不思議と手縫いに重たさもなく、イメージ通り軽やかな衣が生まれました。

 

ご縁がありましたら、幸いです。

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