二〇二三年 九月 二十一日 

赤丹与謝割烹衣

布 : 絹綾織( 経糸、緯糸 / 絹 ) [ 丹後 ] 、 草木染手織木綿布[ ミャンマー ]
手縫糸 : 生糸撚残糸、赤茶刺繍生糸[ 丹後 ]

被写体 / 身長 175 cm [男性]

前身丈 約 80 cm
後身丈  約 86 cm
身幅  約 70 cm
肩幅 約 52 cm
袖丈  約 51 cm
袖口囲 約 44 cm
紐丈  約 70 cm

¥ 38,000 + tax

なきうみには黒土の火山灰土壌が広がっているがその下には粘土層の丹土がある。これらが藁や山水と発酵されて郷土の土壁となったものを僕たちはまた砕いて濾して冷鉱泉と藁で発酵させて家に塗った。丹土に何度も触れるたびに色彩感覚がひらかれ、もともと丹(赤)にそんなに惹かれないでいた僕にも好きな赤色ができた。丹後で出会った絹布はまさにその好きな赤丹色で、先染めの反応染料ならではの楽しみといったら日々の洗濯でゆるやかな経年変化にとどまり色落ちしにくいところ。僕は草木根皮染のもつ崇高さや、もはや生活と同一線上で親密な関係性ならではの植物や鉱物での染色を好んで実践していますが、人知が進んで世の中がひらけた技術で物質的にも精神的にも生活が豊かと感じることを選びとることもあっていいと思っています。僕の場合はこの色味のまま皆様にお届けしたい気持ちを選びました。

i a i / 居相 - Earth clothes - Based in mountain village / Japan.「 一日一衣 」

丹後織物工業で精練された絹は竹野川の水を汲み上げ加工されている。水は良質の軟水でその水の質が変わると絹の風合いも変化する。丹後絹独特の質感や手触りはその根本が水によって成り立っているとお聞きした。与謝野で出会った平織りの絹はその水を想わせるほどのなめらかさでずっと手に触れていたくなる。絹布を使用して制作する時間は特別です。自身の手に触れて気分が上がるものに囲まれて仕事がしたいといつも思っています。それを実行できている歓びがまたたまらなく気分が良いです。ミャンマーの布は経糸、緯糸ともに先染めの木綿糸で四色程が組み込まれている格子模様。大陸を越えて驚くほど丹後の絹布と色味が同調していたので、小幅の二メートルしかなく貴重でしたがここぞとばかりに使用しました。

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赤丹与謝山襞割烹二衣を制作した後に、男性用としても仕立てたくなって手を動かしました。中々、男性のような体格のイメージから割烹着は縁遠いのか世間的に見掛けないが、だからこそ惹かれる型でもあり背後が開いていてさらに紐で結わえるというような中性的な衣服は個人的に好みで提案していきたい形の一つです。ミャンマー布と絹布の切り替えを利用して大きなポケットを一つ付けた。前身頃の中心縫い目や首回り、袖元は赤茶刺繍生糸を使用して三種類ほどの縫い方を多用して手縫いで縫い合わせた。肩部にはミャンマー布の裁断ミミが美しかったので余すことなく使えたらと装飾と補強の意図であしらった。後身頃は首元の同列に二ヶ所布包スナップボタンを使用しそこから十五cm下部にも同様に留め具を使用した。紐は後ろで結わえておいたり、交差させて前で結わえたり、写真であるように交差させて前で結わえるのだけれどもインナーで結わえるので前から見たら紐を扱っているように見えなかったり与える印象が様々になります。

布が残りわずかで生産されていないのですが手元にある分は制作致します。丈詰めや袖の調整も御相談下さい。

ご縁がありましたら幸いです。

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