二〇二五年 二月 二十五日 雨水〔 二十四節気 〕 / 有明月〔 月 〕
布 : 起毛木綿[ 泉州 ]
手縫糸 : 代赭絹糸[ 丹後 ] 、苧麻績糸[ 福知山 ]
被写体 / 身長 160 cm
‐ 身衣 ‐
身丈 約 128 cm
身幅 約 66 cm
裾幅 約 120 cm
肩幅 約 37 cm
袖丈 約 43 cm
‐ 結紐 ‐
長さ 約 110 cm
幅 約 3 cm
¥ + tax
「 樹は水がすきなのに、なんで紙は水がきらいなの 」と、そのときとっさに応えてはみたものの、最初すんなりと身に入ってこなかった。おおもとにあるものが組み合わせによって詩のようなものに転じる。こういうわずかな差異、微妙な意味合いや言葉の色合い、ニュアンスを持っている娘の感覚を桐箱にいれてとじこめたいと思いながら一緒に雪掻きをした。親と子という関係ばかりでいるときほどそのことが良くない気がして、山村暮鳥著「 ちるちるみちる 」の冒頭文に心を還すときがある。子どもに「 見習う」ということを僕の中心において接したいものだとしみじみ思う。
前布の襞を手繰り寄せて鎖骨付近に集結させ、後身の襞は均等一にして小襞をつくり、主布の起毛木綿の緯糸で括り縫い付けた。左鎖骨付近に切り込みを入れてスプリングホックで留める仕様。手仕事の襞は代赭色の絹糸で文様が浮かび込み、前身頃と後身頃で表象の点文を変化させ、揺れ動く身体にあたる光の隈が陰影をつくる。カーテンの襞に光が透け込みやわらかいものを心に与えるように、深鼠色のおもたさとやわらかさが内在する一点物の衣。
ご縁がありましたら幸いです。