二〇二二年 六月二十八日 満月
羽二重に模して織られたものというだけあって
つややかな光沢と密度もあり、羽衣のようにかろやかに薄い印象です。
織られたのは湖東 ( 滋賀 ) であり、
先染めの反応染料によって生みだされたふかい緋(あけ)色。
三十年前の布に今触れて、新たな初夏の着想をここに。
うまれたての羽のように風がなでるときには、呼吸をおなじにして宙にまうかろやかな布。
簡素なゆとりのある長衣にする頭でいたのだけれども
身体に添わせてみて良さがさらに引き立つ印象だったので
立体裁断のほかないと鏡と自身の対話を進めていたら、
根っこは貫頭衣で如何様にも姿をかえられるよう紐結わいで変幻自在の衣に仕上がった。
後身頃の紐通し穴の位置を中心寄りに据えることによって生まれる羽のような膜。纏う人によって身体の違いでその着方は様々になりそうです。
あとは皆さまに委ねます。
それぞれの身体に添う布と衣のあわいで。