二〇二三年 一月 十日 水泉動
布 / 不織布 [ 屑繭 ]
染 / ガマズミ、膠、明礬、冷鉱泉
生薬名 / 莢蒾 ( きょうめい )
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冬の白々とした風景にひときわ目をひく真赤な実。
その甘美でじゅくした果実をとって焼酎につけて
果実酒にしたことがあった。実にそうおうしく
みやびな味わい、こっぷにすける透明感のある
朱色を布に塗布してみたことからはじまった新年。
日本画の下地にドーサというものをつかったと
古書に記述されていた。
まるで和紙の質感そのもののような絹の不織布に
刷毛で数回塗り重ねてみる。冬の希少な陽に
背をほくほくさせながら刷毛をぬるだけの
単調なくりかえしが動的座禅をさせてくれた。
洗濯機で粗雑に洗っても色落ちがなく明瞭。
膠のうすい被膜がそうさせているのだろうか。
水の浸透で被膜がよわらないか。
擦れはどうだろうか。
今日は雨がふっていて、水滴が土をたたいている。
硯をすって、書をすることを午前にしたけれど、
なんて心地いいんだろう。